「在日コリアン人権協会理論研究会は、有志(当会会員以外)の皆様も一緒に学んでいきたいという趣旨で主催させていただきました。私が司会を担当します、人権協会会長の李相鎬と申します。よろしくお願いします。この間、在日の色んな問題が出てきています。しかしながら、全国的に見ますと在日コリアンに関する人権問題が語られなくなりました。さらに北朝鮮の拉致問題等が追い打ちをかけています。
 そういう流れの中で今日は、在日コリアンの人権運動はこれからどうしていけば良いのかについて、考えていきたいと思います。
 当会の副会長である徐正禹が兵庫県立大学院に在籍しておりまして、ここで修士論文を書き上げました。今日は基調報告として、その修士論文をもとにお話していきたいと思います。ご紹介させていただきます、徐正禹です。」
「徐正禹です。よろしくお願いします。」
「今日はコメンテーターとして3人の先生方をお迎えしました。まず始めに、この兵庫県立大学院で徐正禹の指導をしていただきました吉田勝次教授です。」
吉田 「よろしくお願いします。」
「続きまして、この間、人権協会に色んな形で支援して下さっている先生方として、大阪市立大学院の教授であります柏木宏先生です。」
柏木 「柏木です。よろしくお願いします。」
「それから、四国学院大学教授であります佐野通夫先生です。」
佐野 「佐野です。よろしくお願いします。」
「この先生方にはコメンテーターをしていただきます。私も久しぶりに教授方をお迎えしての司会となりますが、なるべくざっくばらんに進行していきたいと思います。私が徐正禹の論文を読んだ限り非常に賛同できる部分が多かったです。ちょっと違うなという部分もありましたが、そういう部分も含めて色々な話を聞きたいですし、日本人、韓国人、在日に係わらず色んな意見を伺いたいと思います。
 それでは徐正禹の方から最初は基調報告という形でパワーポイントを見ながら説明してもらいたいと思います。」
「それでは、私からの基調報告を開始したいと思います。『在日コリアン人権運動の理論構築について』というのが私の修士論文のテーマです。まず、なぜこういう修士論文を書いたのか、なぜこういう理論研究をしようとしたのか。元々は実践しかやらなかった私ですけども、こういう様な問題意識があったからです。」

■1、問題意識―民族差別撤廃運動の停滞―

「まず、今日における民族差別撤廃運動が非常に停滞している。これは皆様方もよくご存知のことかと思います。その主たるポイントは2つほどあります。
 1つは日本国籍取得特例法案、これは参政権運動に対して自民党からぶつけられた法案ですが、これを契機として参政権運動がたちまち立ち往生し停滞していきました。
 2番目に、これも大きなテーマになるんですけども、80年代後期から日本社会を急激に席捲した『多文化共生』という言葉、理念。これが瞬く間の間に日本社会全体に広がり、それが広がる時期と相対して、労働運動も含めた日本の社会運動総体が停滞していきました。つまり、民族差別の撤廃運動だけが停滞したわけではない。ということも1つ大きなポイントだと思います。」

<目次>■2、民族差別撤廃運動停滞の経緯 →