■3、停滞の主要因―官僚集団による人権予算の既得権益化―

「停滞した主要因は何だったのかと言いますと、先ほど出てきた介入・妨害のことなのですが、まずは解放同盟の府連がそういったことをしてきた背景。解放同盟の府連自身がもはや大衆基盤を失っているということが挙げられます。支部といっても、支部活動がほとんど実態としては"無い"。班活動もなされていない。実際活動家といわれている人たちのほとんどが公務員か準公務員。これでは本当の闘いは不可能です。さらには、同対法が期限切れになり、行政からの補助金が削減ないし、廃止されたこと。そのため、あらゆる人権予算の独占を企図したことです。
 そういった府連の弱体化を見抜いた官僚集団、それは大阪市・大阪府。さらに検察庁もそうですし、国もそうです。今までやってきた人権行政のイニシアティブを運動体側から、つまり解放同盟から自ら官僚集団の側に獲得する。官僚集団は自らの天下り先を確保していくということを企図していたのだろうと思います。要するに人権行政の官僚たちによる既得権益化を企図したということです。飛鳥会事件の本質はそこにあると思っています。あれだけのマスコミによるバッシングの中でも、行政は『人権行政は必要である。』と言い続けました。つまり解放同盟を叩きながらも、人権予算は守っていくという官僚集団の意図というのはここにあるわけです。それに対して府連は、殆どと言っていいほど抗議をしない。抵抗もしない。それは、結局は自らの組織状況から抵抗できないという事と、同時に幹部を中心とした人たちが、自らの生活と地位を守るため官僚支配を容認するということ。官僚集団が結果として、裏から府連を支配していく、影響力を与えていくという間接支配の方向に入っているという風に思っています。
 次に官僚が既得権益化を実現化させるためには、すべての人権運動を官僚支配下に統合させる必要があります。女性運動、障害者運動、在日コリアン運動、部落解放運動などがそれぞれバラバラに自立していくというのは、官僚集団にとっては非常に好ましくない。そのために、解放同盟の府連をして、他のマイノリティ運動を一本化させるという策謀です。これに従わない運動体は徹底的に排除するということです。それが我々であったということです。
 運動体ですから、これらの策謀を正当化する必要がある。そういったことが『正しいことである』という事を意味付けするために使われたスローガンが『多文化共生』…争わず協調するということです。」

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