■5、日本国籍取得論

「次に政治力をもってしか社会は変革できないこと。何だかんだ言っても我々を支配しているのは日本の政治です。この政治をどうにかしないことには我々のおかれている状況は変わりません。そのためには、理解をしてくださる議員にお願いをするという没主体的な存在ではなくて、変革の主体足りえる道を選択する。この国の主権者として生きる。即ち日本国籍を取得する以外にないということです。
 日本国籍の取得論はこれまで議論としては存在してきました。90年代後期?2000年代に入ってからようやく表で議論されるようにはなってきましたが、残念ながら『運動としてどうするのか?具体的にどう世論化していくのか?』という形には至っていません。私は運動として世論化していくためには、国籍取得の法律を作るというのも大切ですけども、現行の帰化制度を徹底的に批判することだと思います。現行の帰化制度というのは、ほとんどが法務官僚の恣意によって運用されているという実態があります。
 手元の資料(リベール)にもあると思うんですけども、以前我々は帰化の現状に関して大阪法務局にインタビューをしたことがあります。現行の帰化制度がベールに包まれている、秘密裏の内に置かれているという実態がありますので、帰化制度の実態を徹底的に暴露し、徹底的に情報公開を求めるといった闘いが必要ではないでしょうか。具体的には、特定の個人がまず帰化申請を行い、窓口に行きます。そうすると、法務局の方からいろんな資料『これを出してください。あれを出してください。』と来るわけですよ。その一つ一つについて、歴史的経緯を持つ在日コリアンが日本国籍を取得するにあたって、何故必要となるのか?と徹底的に説明責任を求める。説明責任の果たせない手続きについては拒否するといった姿勢で、個別具体的に追求する闘いですね。
 これは民闘連運動の原点でもあります。黒人の公民権運動で有名なバス運動と同様で、まず個人が闘っていくというスタイルを採っていくべきではないでしょうか。その事を、マスコミを通じて社会に公表していき、日本の国籍制度の矛盾を暴露していく。そこから在日コリアンの日本国籍取得のあり方について、議論を巻き起こす必要があると思います。その中で改めて在日コリアンにとっての日本国籍取得のありうべき制度とは何かを考えていくべきだと思います。
 我々の立場としては権利としての自由選択以外にありえない。そういう制度を作るべきなんですけれども、そのためには、従来どれだけ日本の帰化制度によって多くの人々が屈辱を味わってきたのか。日本人から見ても『あまりにも理不尽ではないか?』という様な姿を暴露させていくということです。そのためには具体的に誰かが立ち上がることが私は必要だろうと思います。本当は若い人たちが立ち上がってくれれば理想的ですし、そのようなことを今後呼びかけようと思います。どうしてもいなかったら私でもやりますし、当会会長も自らやるとの事です。まず、誰かがやるという事が大事なので、そういった方針を今後提起していきたいということです。」

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