■6、人権運動のあり方

「人権運動のあり方ですが、私はずっと高校生のときからこの道一本でやってきてですね『最後まで頑張ろうな』と言っていた仲間が大体20代後半から30代前半でひとり欠け…ふたり欠け…やせ細っていくと。生活がありますから。やはり結婚して子どもが出来たら無理です。無茶な生活や運動はできないですね。その点において何が問われているのか?
 私は、これから伸びていこうとする活動家なのにやはり辞めていく人の姿を見ると、運動の専従者の待遇や給与、そしてそれを支える財源などをきちんと確保していくということを、もっ公していく必要があるだろうと思います。
 運動体の財政をどのように確保していくのかについては、表で徹底的に議論をしていく。裏でやると必ず不正が起きます。2番目の専従者の給与及び待遇ですけども、やはり人並みの待遇をきちっと保障できるだけの財政と、それを理解するような風潮を作らないと駄目です。そして3番目のマイノリティ運動の横の連携の可能性についてですが、今日いらっしゃる柏木先生からずいぶん前に教えていただいたとき、はっと思ったのですけども、日本のマイノリティの人権運動の連携が出来ない。端的に言いますと、部落解放同盟の一人勝ちなのですね。なぜそうなるのかとなりますが、行政予算の組み方がそのようになっています。
 どこの国でもそうですけども、人権に関する法律というのは、すべての被差別者のための法律。アメリカの公民権法もそうです。他はすべてそうなのですが、ところが恐らく日本だけだろうと思います。個別の被差別者だけの法律が出来上がっている。このことによって、横の連携が非常に取りにくいという環境にあります。課題は、どのように『運動の連携の可能性を広げていくのか』ということです。『反差別共同闘争』というスローガンは解放同盟から出ていますけども、実態としては機能し得ていません。し得ない法律の体系と人権予算を独占したいという部落解放同盟の意図いうものがあるわけで、それを今後どうするのかということがこれからの大きな課題であろうと思います。私の報告は以上です。」
「ありがとうございました。つい先週の話ですがね、私は福岡の民族団体の民団というところの役員もしているのですが、そこで幹部研修会がありまして、その時北朝鮮の核問題、それに関して在日コリアンがどういうような状況になっているのか、などを話し合い勉強するような研修会がありました。その後、福岡民団支部の主催で教育文化委員会の教育文化活動5周年記念で、著名な在日の大学教授が主にお話をしていただいたのですけども、内容は“在日”としての立場というよりも東アジアの中で韓国・朝鮮はどうあるべきなのか、その中で在日が生きるかといったものでした。
 私はこの2つを考えると、正直『在日も何も、僕らの子らや孫らには関係ないな。』と感じました。要するに『父ちゃん、アッパー。僕らはどうやって生きていくねん?』といった、『生き方』というのが出ていないんですよね。僕は在日のあり方について、具体的に決めていかなければならないという時代に来ていると思います。といっても、これは十数年前から言ってきたことなのですが、ずっと放ったらかしでした。そういうような中でようやくこの修士論文ができ、是非そういった事をいろんな方の声を聞いて、これを具体的な実践に結び付けていきたいと思います。
 今日は冒頭のご紹介のとおり、3人の先生方にまずコメントをしていただいて、それに基づいて忌憚なくいろんな意見を交換していきたいと思います。それでは最初に、今回修士論文を書くにあたっていろんな指導をしていただきました兵庫県立大学院教授であります吉田勝次先生の方からお願いします。」
吉田 「吉田でございます。ご指導なんてことはまったくありませんで、僕自身がちょうど3年ほど前に腎臓がんで死にかかっている時に彼が飛び込んできまして、僕が死んでしまっては論文が書けないという事で、生きていこうという勇気を彼から与えられまして、こうやって今生きているという事で、彼には生きていく力をいただいたという風に思っております。僕が出来たことはせいぜい土壇場で僕の部屋で夕飯を食べて風呂に入るのを家内共々協力しただけのことでして、僕に言わせれば学んだことの方がずっと多かったと心から感謝したいと思います。」

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