準備書面(5)

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2006年6月13日
1 2004年2月17日における被告北口の発言は,被告準備書面(3)に記載したとおりである。同書面において主張しているとおり,同被告は在日コリアン人権協会に関する事実を柏木教授に伝えたのがその趣旨である。同被告が殊更原告個人に対し,何らかの名誉毀損的発言をしたものではない。
 仮に,原告の主張するように,柏木教授が,同被告の発言を,原告個人に関する発言と理解したとしても,以下のとおり,その発言は,公共の利害に関する事実に係わり公益を図る目的に出たものであり、且つその発言内容は真実に基づくものであり,違法性がないこと明らかである。
2 上記の点についての2004年2月17日の被告北口の発言の趣旨及びその内容は以下のとおりである。
(1)  前記被告北口の準備書面においても主張したように,同被告は,従前から「エセ同和」「エセ人権」行為により被害を受けている企業や行政機関等から相談を受ける機会が多く,「エセ同和」 「エセ人権」行為の被害企業等の要請を受け,同被告の立場で指導や援助をしてきた。
同被告は,上記の面談の際も柏木教授に対してこの点についてまず説明したところである。そしてその上で,在日コリアン人権協会が,これまで差別事件を起こした企業に対して,金銭的要求を含めてどのようなことをしていたのかについて確認してきた具体的事実を柏木教授に報告し,それに関する同被告の見解も述べた。
即ち,同被告の同教授に対する発言は,殊更同協会やあるいは原告に対する社会的評価をおとしめようとする趣旨ではなく,「エセ同和」 「エセ人権」行為あるいはそれに類する行為についての事実を知らしめ,そうした行為による被害や,あるいは逆に差別を助長するような事態の発生を帽子する趣旨であった。その公益目的は明らかなところである。
(2)  同被告は,柏木教授に対し,以上の目的で,当日以下の趣旨の発言をした。
① 同被告は,大阪府内で約1万社の会員を持つ大阪企業人権推進協議会や大阪同和・人権問題企業連絡会の加盟企業が,在日コリアン人権協会に関して,以下の理由で問題だと指摘した。
第1に,2001年(平成13年)4月16日,大阪同和・人権問題企業連絡会代表幹事であった(株)関西電力が,在日コリアン人権協会と一体であった(社)大阪国際理解教育研究センター(KMJ)が主催する就職セミナーに後援しないことを, 「就職差別」だとして, 「全国在日コリアン保護者会」 (在日コリアン人権協会と一体の組織)名で「関西電力は就職差別をやめてください」といったビラ配布を関西電力本社前で行ったこと。
第2に,同日,(株)関西電力本社前で上記の理由で座り込みを行い,不当な圧力を加え,業務を妨害したこと。
第3に,上記と同じ理由で,同年6月15日大阪城ホールで開催された大阪企業人権推進協議会の設立20周年記念行事に際し,同協議会が「就職差別企業集団」であるかのようなビラを会場前で配布し,記念行事を妨害するなどの行為を行ったこと。
② 大手飲料メーカーの差別事件に関わって,当該飲料メーカーから,「集中研修期間研修指導料(コンサルタント料)」として,3年間にわたって毎月50万円の金額(合計1800万円)を上記KMJが受け取っていた事実にみられるように,余りにも多額の金員を当該企業から受領していること。
③ 差別事件を起こした企業である近鉄日本ツーリスト株式会社及び株式会社ツーリストサービスと確認書を交わし,その付属文書で両社併せて,1冊700円のテキスト(パンフレット) を1万冊 (合計700万円) ,季刊「Sai」(年間2800円)を350冊(合計98万円) ,月刊新聞「在日コリアン人権協会ニュース」(年間3000円)を349冊(合計104万7000円),上記KMJの法人会員4万円を10口(合計40万円)の代金を受け取っていた事実にみられるように,余りにも多額の金員を当該企業から受領していること。
④ 差別事件を起こした宗教法人天理教から1冊700円のテキスト(パンフレット)を約3万冊(合計2100万円) ,季刊「Sai」(年間2800円)を300冊(合計84万円),月刊新聞「在日コリアン人権協会ニュース」(年間3000円)を300冊(合計90万円) ,KMJの法人会員50口(年間合計200万円)の代金を受け取っていた事実にみられるように,余りにも多額の金員を当該法人から受領していること。
(3)  同被告が指摘した前項の事実については,以下のとおり,同被告が,根拠に基づき事実であることを確認して指摘したものである。
 まず前項①の事実については,第1の事実に関して当日に配布されたビラ(乙3),第2の事実に関して当日の行動を記載した人権協会発行の 「在日コリアン」(乙4) ,そして第3の事実に関しては当日に配布されたビラ(乙5)が,それぞれ同被告が指摘した事実に関する根拠となる資料である。
 次に②の事実については,既に同被告が入手していた乙1号証のとおりである。
 ③の事実については,同被告が入手していた乙6号証の1~3が根拠となる資料である。
 ④の事実については,同被告が直接天理教関係者からその事情を聴取している事実である。
3 以上のとおり,被告北口は,「エセ同和」「エセ人権」行為あるいはそれに類する行為についての事実を知らしめ,そうした行為による被害や,あるいは逆に差別を助長するような事態の発生を防止する趣旨から,上記のとおり,根拠に基づいて在日コリアン人権協会の活動に関する事実を柏木教授に述べた。
 こうした事実については,同被告としては,「就職セミナーに後援しない」ということが,「就職差別」であるとしてビラを配布したり,座り込みをする行為は,「差別と闘う」運動の趣旨を逸脱し, 「エセ人権」的行為と受け止められかねないこと,更に,「差別事件」を起こした企業から,1800万円もの「コンサルタント料」を徴収したり,大量のビラやパンフレットを多額で購入させる行為は,明らかに運動的観点からすれば行き過ぎた行為であり,これも「差別を金で売る」と見られる「エセ人権」的行為と受け止められる可能性がある,と考えていた。
 そしてその旨は柏木教授に伝えたものであり,それ以上の内容を述べたものではない。到底名誉毀損と評し得ないことは明らかである。
以上
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