甲2号証

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陳述書

2006年4月27日
陳述者 柏木宏
1 私は、今回の裁判に関連して、以下の通り陳述します。
 私は、2003年4月に、大阪市立大学大学院創造都市研究科に赴任し、以来、教授として民間非営利組織(NPO)と人権問題を中心に、教育、研究活動に従事しています。
 大阪市立大学大学院創造都市研究科に赴任する以前は、日本太平洋資料ネットワーク(Japan Pacific Resource Network = JPRN)の理事長兼事務長として、10年余りにわたり、NPOや人権問題をはじめとした調査、研究、日米の市民交流、NPOの人材育成などの事業に関わってきました。JPRNは、1985年に、私が創立者となってアメリカ合衆国カリフォルニア州で設立したNPOです。2003年当時、オークランド市に本部、東京に支部を置いていました。
2 今回の裁判の被告である北口末広氏とは、JPRNの事業を通じて知り合いました。私が編集・制作を行い、JPRNが発行していた月刊の情報誌「アメリカの人権問題とNPO」の日本での販売に当たり、北口氏が代表を務めるイコール社に代理店になっていただいていた、ということです。この代理店契約は、1990年代の初頭から2002年まで約10年間続きました。北口氏の販売に対する協力により、この情報誌の発行は財政的にかろうじて成り立っていました。しかし、私が大阪市立大学大学院創造都市研究科に赴任することにともない、JPRNに残る職員らに膨大な業務の引継ぎなどを行う必要があり、この情報誌の編集・制作に時間を割くことが困難になったこともあり、廃刊することになりました。廃刊前には、大阪で北口氏にお会いし、それまでの協力にお礼を申し上げました。また、赴任後も、北口氏が関係する国際人権大学院大学から、同氏の推薦により、講座(全10回)の講師を依頼されるなどの関係がありました。
3 今回の裁判の原告である、在日コリアン人権協会の徐正禹氏とも、JPRNの事業を通じて知り合いました。1996年に、JPRNと国連NGOである反差別国際運動(IMADR)の共催による、第2回日米マイノリティ会議のため、日本から数名の代表がアメリカを訪れましたが、そのひとりが徐氏でした。この後、私は、訪日した際、在日コリアン人権協会が主催するセミナーに講師として講演を行うこともありました。大阪市立大学大学院創造都市研究科に赴任した後には、私が所属する研究分野のシンポジウムに徐氏に講師としてきていただいたこともありました。
4 2003年秋、徐氏より、大成建設株式会社への人権研修の講師の依頼を受けました。日程などは、追って連絡されるということでした。同年11月中旬、徐氏より、大成建設での人権研修ができなくなったので、その説明のため、大成建設の関係者とともに会いたいとの連絡があり、同年12月1日午後 2時から私の大学院でお会いしました。この時の出席者は、私と徐氏の他、在日コリアン人権協会の梁優子氏、大成建設関西支店から村瀬泰郎氏でした。
5 村瀬氏は、大成建設と在日コリアン人権協会の間に問題があるわけではないと述べられました。具体的には、これまで同協会と実施してきた研修における協会側への講師謝金もとりわけ大きな額ではないなどのことをあげられました。大成建設も加盟している、大阪同和問題企業連絡会(同企連)では、人権協会と付き合うなという雰囲気があるが、特に問題がなかったため、独自の判断で人権研修を依頼してきたと述べられました。なお、同企連は、北口氏が書記長を務める部落解放同盟大阪府連合会と関係が強い企業の連合組織です、そのうえで、村瀬氏は、今回の在日コリアン人権協会との人権研修については、北口氏より強い要請があり、やむなく中止を決めたと述べられました。
6 私は、自分が講師の候補となった研修を中止させられた背後に北口氏の言動があったことに違和感を感じました。このため、私は、北口氏から説明を聞くため、柏木、北口氏、徐氏、大成建設の4者にミーティングをもつことを提案しました。そして、このミーティングを行う場合、大成建設からも参加してもらえるかどうか、伺いました。これに対して、村瀬氏は、参加する旨を述べられました。なお、ミーティングの日時や場所については、私が北口氏に連絡をとり調整することで徐氏、梁氏、村瀬氏から合意をえました。
7 その後、私は、北口氏の勤務先である、近畿大学の北口氏の研究室に何度も電話をかけてミーティングの要請を行おうとしました。しかし、年末年始ということもあってか、連絡がとれませんでした。留守電もなかったため、2004年1月に手紙でミーティングのお願いをしました。手紙に対して、北口氏は、私の研究室に電話をされたようですが、連絡がつかなかったために、2004年2月7日付けで電子メールを受けとりました。その後、数回電子メールのやり取りを通じて、日時と場所の調整を行いました。その結果、同年2月17日午後3時半頃から、大阪人権センター2階の部落解放同盟大阪府連合会書記局において、ミーティングを行うことになりました。
8 このミーティングには、私、北口氏、村瀬氏、ならびに村瀬氏の上司にあたる大成建設関西支店藤田正之総務室長が参加しました。なお、6項で述べたように、当初は、徐氏を交えて開催する予定でした。しかし、北口氏が徐氏との同席を拒否したため、徐氏が不参加の状態のまま実施されることになりました。一方、北口氏は、宋氏という元在日コリアン人権協会の副会長の同席を希望されました。けれども、宋氏の同席については、私が必要性を感じなかったため、お断りしました。北口氏は、宋氏から在日コリアン人権協会の問題点を直接説明してもらい、私に理解を求めようとしたのです。しかし、私は、在日コリアン人権協会を支援する立場から説明を求めたわけではなく、あくまで大成建設から依頼された講師を北口氏の言動によってキャンセルされたことに対して説明を求めたためです。
9 ミーティングの席上、北口氏は、在日コリアン人権協会のさまざまな問題、とりわけ徐氏の個人的な問題、例えば人権問題を起こした企業を脅し、法外な値段で資料を売りつけたり、実態のないコンサルの名目で資金を受け取っているうえ、こうしてえた資金を個人的に着服しているなどを指摘し始めました。しかし、私は、在日コリアン人権協会の問題に関わるつもりはなく、大成建設によると、在日コリアン人権協会との関係で問題がないにもかかわらず、北口氏から大成建設への働きかけたことにより研修が見送られたということについて、事実関係を聞きたいと述べました。
10 北口氏は、長年、在日コリアン人権協会を支援してきたとしたうえで、在日コリアン人権協会への批判の声を受け、在日コリアン人権協会の調査を行ったところ、「エセ同和」的な行為が目に余ると判断したと述べられました。このため、北口氏が在日コリアン人権協会を支援し、その結果、在日コリアン人権協会を支援するようになった企業などに対して、付き合いをやめるように働きかけを行っていると述べられました。そして、今回の大成建設への働きかけも、その一環であるとしたうえで、大成建設の研修にクレームをつけたのは、私が研修の構成になるからではなく、徐氏も講師を行うためであり、大成建設が私に依頼して研修を行うのであれば、歓迎するといわれました。なお、村瀬氏は、北口氏の発言を受けたような形で、2003年12月1日に会った際には、在日コリアン人権協会の人がいたので、率直なことをいえなかったが、人権協会にいろいろな問題があるという認識をもっていると述べられました。
11 私は、個人的には北口氏の指摘だけでは在日コリアン人権協会の行為が「エセ同和」的であると断定できないのではないかとしたうえで、アメリカの人権団体が行う手法に似た部分もあるのでは、と述べました。また、長年、在日コリアン人権協会を支援してきた結果、在日コリアン人権協会を支援するようになった企業があるにしても、大成建設のような企業と民間団体である在日コリアン人権協会が自主的に行おうとしていた研修を中止するよう求めることは行き過ぎのように感じました。さらに、2003年12月1日と全く異なる発言を行った大成建設の村瀬氏らには、在日コリアン人権協会に問題があると認識しているとしながらも、なんら具体的な例などを提示したわけではなく、違和感をもたざるをえませんでした。とはいえ、JPRNを通じて、長年、お世話になった関係を講演が1回できなくなっただけで解消することも適切と思えませんでした。このため、やや不本意ではあったものの、北口氏にそれ以上、説明を求めることはしませんでした。
12 これ以降、私は、北口氏や大成建設の方々とはお会いしていません。ただし、北口氏とは、今回の件に関連して在日コリアン人権協会から北口氏が訴えられた後、電子メールでやり取りをしました。そのなかで、私は、2005年1月20日付けのメールで、北口氏に対して、「ご存知のように、元々、徐さんから依頼され、大成のゲストスピーカーになる予定だったわけで、それができなくなったことに対して、私なりの疑問もあり、以前、芦原橋にお伺いした形になりました。私自身は、原告になる意思はありませんが、徐さんからの依頼経過、ならびに大成建設さんや北口さんからお聞きしたことについて、どちらの側につくというわけではありませんが、聞かれれば話すつもりでおります。徐さんの弁護士の方にも、そうお話しています」とお伝えしました。
  以上事実に相違ありません。

大阪市北区梅田1-2-2-600
大阪市立大学大学院創造都市研究科内
柏木 宏


大阪地方裁判所 裁判官殿

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